モテKingのターゲット
あぁ、なんか何もかもが堪んねぇ。
俺の言葉にいちいち反応すんのも。
その仕草にめちゃくちゃドキドキすんのに、それがムカつくほど心地いいのも。
だって今まで、こんな風にドキドキした事も胸がきゅんとする事もなかったから。
何、これ。
これが『恋』ってやつか?
きっと、そうなんだろうな。
「蘭」
俺の声に反応して、潤んだ瞳で俺を見つめる。
「ちょっとくらいは待ってやるけど、さすがに俺も限界近いわ」
「えっ?」
「誰かさんとの約束で、ここ暫く修行僧並みの生活してるから、そろそろ限界が近いって事」
「ッ?!!」
「だから、潔く諦めろ」
「ぬっ……ッ……」
この俺がたった一人に照準を合わせたんだ。
逃がして堪るかよ。
それに、お前に我慢させられたんだ。
その代価はきっちり支払って貰わねぇとな?
とりあえず、今日のところは事前予告って事で。
「瞼に睫毛が付いてんぞ?」
「えっ?」
「じっとしてろ、取ってやっから」
俺の言葉を信じて、瞳を閉じた蘭。
そんな彼女の唇にそっとキスをした。
「好きだ、蘭」
~FIN~