モテKingのターゲット
「久峨~、職員室まで来るように」
「げっ………マジかよ」
担任からお呼びが掛かってしまった。
今日は昨日のリベンジをしようと思ってたのに。
俺はチラッとケンに視線を向けると、
「待っててやっから、早く行って来い」
「おぅ」
ケンは俺の机にドカッと座り、携帯を弄り始めた。
恐らく、彼女にでも連絡をするんだろう。
俺は重い足取りで職員室へと向かった。
担任の机に着くと、見覚えのある用紙が1枚。
「久峨、進路はどうするんだ?」
「………まだ、決まってません」
「お前、そのセリフ聞き飽きたぞ」
「………すいません」
進路希望調査票と書かれた用紙。
俺は白紙で提出した。
別に進路が決まってない訳じゃない。
ただ、それをまだ言う時期ではないと思ってる。
―――――俺は『パン屋』を継ぐと決めてるから。