モテKingのターゲット
ケンはあからさまに眉間にしわを寄せた。
「実はさ、うちに新しいバイトの子が入ったんだけど、そいつの名前が『秋月 蘭』って言うんだよ。しかも、うちの学校の生徒らしいんだわ」
「マジで?」
「あぁ。親父なんて、“ランちゃん”って呼んでんだぜ?」
ケンは、俺の話に驚きを隠せない様子。
ってか、俺も未だに信じられないんだけど。
「お前んちって、メイクとかダメじゃ無かったっけ?」
「あぁ、今もNGだよ」
「あのバッチリメイクの女が、すっぴんってのは正直信じらんねぇ」
「……俺も」
「でも、多分………それ、本人だわ」
「…………やっぱり?」
「あぁ。だって、あの女………食品工業科だもん」
裏は取れた。
あの女がうちのバイトの子だという事が判明しても、未だに信じられない。
やっぱり、自分の目で確かめない事には納得出来そうにないな。
「今日も凜華さんちに泊まるのか?」
「いや、今日は自宅に帰る」
「じゃあさ、今日は俺に付き合え」
「何する気だよ」