モテKingのターゲット
「相変わらず、短ぇスカートだな」
ケンが漏らした言葉通り、今日もあの女は制服のスカートを短くして穿いている。
先生に怒られたりしないのだろうか?
俺らが通う“特進科”じゃ、絶対無理な恰好だな。
食品工業科は、比較的に校則も緩いんだろうか?
俺はそんな事を考えながら、女を追っていた。
最寄駅に到着しても誰とも会話する事無く、電車が来るのをじっと待つ女。
その表情は、いつか見たような無表情の顏。
真っ直ぐ前を見据え、近寄りがたいオーラを放っている。
10分程すると、ホームに電車が入って来た。
俺らは女が乗り込んだのを見届け、一呼吸置いてから同じ車両に乗り込んだ。
座席が空いているのにもかかわらず、座る事もせず吊革に掴まる女。
俺は女と背中合わせになるように吊革に掴まった。
そんな俺の前に座るケン。
俺越しに女の様子を窺っている。
7駅ほど電車に揺られ、降りたのは繁華街がある市街地の駅だった。
俺らは一定の距離を取りつつ、女を追う。
そんな俺らに気付かず、女は繁華街の大通りから1歩裏手にある通りへと足を進めた。