モテKingのターゲット
俺はケンの腕を掴んで、少し離れた場所へと移動した。
「それにさ、黒い噂が立つって事は、それなりに先生の耳にも入ってておかしくないよな?」
「………言われてみれば、そうだな」
「だったら、その真相を本人にもそうだけど、親とかに聞いたりすると思うんだよね」
「………ん」
「お金欲しさに水商売のバイトをしてるとしても、年齢を偽って働く事自体問題だしさ、普通そんな事、親や学校が見逃すはずないと思うんだけど」
世の中には、そんな綺麗ごとで解決出来ないことなんて腐るほどある。
それは俺でも解るんだけど、女の行動からして違和感しか湧いて来ない。
親父が言うには、バイトの志望動機は『母子家庭なので自立したい』だったとか。
確かに母子家庭で生活が苦しいのかもしれない。
だからって、援交やパトロンを正当化するのは間違っている。
正直、17歳でパトロンがいるって事が信じられない。
勿論、キャバ嬢やホステスみたいにそれなりの付き合いがあれば別だが、あの女は女子高生。
『CLUB 泉』で知り合った客をパトロンにしているに違いない。
何故だかは分からないが、俺の中で嫌悪感と苛立ち込み上げて来た。