モテKingのターゲット
一時間余り、俺らは『CLUB 泉』の店舗周辺で見張っていたが、やはりあの女が出て来る気配はない。
ケンの言う通り、店で働いているのかもしれないな。
「ケン」
「ん?」
ケンは携帯ゲームで時間を過ごしていた。
「暑い中、悪かったな。出て来る気配も無いし、そろそろ帰るか」
「それで、いいのか?」
「いいも悪いも、そろそろ店が開く時間帯だし、制服のままじゃ問題だろ」
「……それもそうだな」
「とりあえず、アイツがあの店に関わってるのは解ったらから、今日はヨシとする」
俺の言葉に立ち上がったケン。
ずっと座りっぱなしだったから、身体を伸ばしてこりを解し始めた。
すると――――。
『CLUB 泉』の店先に1台の車が停車した。
何気なくそこに視線を向けると、運転席から降りて来たのは――――養護教諭の倉田先生。
「んっ?!………ケン、俺の目………おかしくなったみたいだ」
「あ?」
「あそこにいるの………うちの学校の倉田先生じゃね?」
俺の声に反応するようにケンが店先に視線を向けた。