モテKingのターゲット
最寄駅に到着すると、
「あっ」
「……ん?」
珍しく、ケンの視線の先には1人の女子高生の姿が。
「元カノか?」
「んなわけねぇだろ」
「じゃあ、知り合い?」
「バカ、ちげぇーよ。あの子、秋月 蘭って言って、黒い噂の女王だよ」
「黒い噂?」
「お前、聞いた事ねぇの?『1年で男100人斬り』って」
「はぁ?」
「だから、去年一年間で、男を100人斬ったらしいぜ?」
「……マジかよ」
こう言っちゃなんだが、俺は結構モテる。
いや、かなりモテると自負してる。
その俺が一年間で寝た女の数だって、50人にも満たない。
なのに、100人……?
まぁ、噂だから、どこまでが本当かは謎だけど。
それにしたって、そんな噂が立つって事は、それなりの素行がある訳で。
「黒い噂って、他には?」
「そうだな。援交してるって噂だし、パトロンがいるってのもあるな」
「………マジかよ」
俺は同じホームに立つ、その女を遠目で見ていた。