モテKingのターゲット
ふんわりと緩くウェーブのかかったロングヘアー。
自然な栗色の髪がホームを吹き抜ける風でサラッと靡いた。
かなり短めのスカートの裾から、スラリと伸びた細い脚。
野郎どもの視線を釘付けにするほど、かなり魅力的な脚の持ち主のようだ。
顏のパーツははっきり見えないが、遠目で分かるほど整っている。
俺が今まで相手にして来た女で当て嵌めるとすると、恐らく上位3人のうちに入るだろう。
「おいっ、シュウ。もしかして、気に入ったのか?」
「あ?」
「お前、さっきからガン見だぞ」
「…………気に入ったってわけじゃねぇけど、ちょっと気になる」
視線の先にいるその女は、友達も連れず1人でいる。
しかも、無表情で真っ直ぐ見据え、どことなく近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
そこへ、俺らが乗る予定の電車がホームへと入って来た。
「ケン、向こうの車両に乗るぞ」
「はぁ?」
俺は女が乗り込んだ車両に移動した。
不規則な揺れに身を委ねながら、座席3つ分横の女をケン越しに眺める。
吊革に掴まっているケンが、溜息を吐きながら流れる景色に視線を外した。