モテKingのターゲット
「あの店で働いてるのか?」
「………あの店って?」
「CLUB 泉」
「さぁ、どうでしょうね」
「答えになってねぇぞ」
「答える義務はないと思いますけど」
「さっき店の前で、公園に行ったら何でも聞くって言ったじゃねぇか」
「………聞くとは言いましたけど、答えるとは言ってません」
「屁理屈だな」
「何とでもおっしゃって下さい」
会話は平行線を辿る。
だって、正直に『母の店です』なんて言いたくない。
「じゃあ、質問を変える。お前にとって、倉田は何?」
「…………黙秘権を行使します」
「フッ」
聞きたい事は解ってる。
『黒い噂』の真相を確かめたいんだろう。
でも、興味本位で知りたいだけで、私を知ろうとしてる訳じゃない。
なのに、何で正直に話さないとならないの?
馬鹿馬鹿しくて、話にもならない。
「他には?無いなら、戻りますけど」
「…………100人」
「へっ?」
「お前、………ホントに1年で100斬りしたのか?」
あぁ、やっぱりその話題か。