モテKingのターゲット
「正直言って、デマだと思ってる」
「………えっ?」
意外な言葉に思わず、パッと視線を向けた。
すると、ゆっくりと視線を合わせ、口を開いた。
「自慢じゃないが、女には不自由してない」
「………」
「そんな俺だって、50人は無理だ」
「………」
「今はうちでバイトしてるから、そういう事をしてないにしても」
「………」
「お前の行動見てると、デマっぽく感じる」
「………どうして?」
「痴漢に遭ってるのに震えてたし、この俺に色目を使わねぇ女は初めてだ」
「………フッ。それって、自分がモテるって自慢したいの?」
「自慢しなくても、現実的にモテる」
「…………周さんって、変ってる」
「……そうか?」
「えぇ、かなり変わってる」
確かに綺麗な顔立ちだとは思うけど、彼をどうこうしたいだなんて私の思考には無い。
彼を『男』として、意識してないのかもしれない。
ただの人、1人の人間というだけで。
ほんの少しだけ理解出来た気がする。
……久峨 周という人物が。