モテKingのターゲット
「他に質問は?………無いなら、今の質問だけ答えてあげます」
「………」
彼は再びあの瞳で私を見据えている。
心の奥まで見透かすような瞳で……。
「100人は斬ってませんよ」
「だよな?」
「はい。100人どころか、1人も斬ってませんから」
「…………はっ?」
「それでは、失礼しますね?お気をつけて」
私は上品にお辞儀をして、母の店へと歩き出す。
すると、
「おいっ、待てよっ!!1人もって、どういう意味?」
「………」
「なぁ。もしかして、誰とも寝てねぇーのッ?!」
「ちょっと!そんな事を大声で言わないでよっ!!」
「んっ……」
私は思わず、彼の口元を手で覆った。
顔見知りの人がいたら、どうするつもりよ!!
別の意味で変な噂が立つじゃない!!
キッと睨み上げる。
身長差があるから、無理に背伸びして結構辛い。
しかも、間近で見る彼は………綺麗だけでなく、ほんの少しワイルドにも感じた。
だって、手で押さえる口周りが、ほんの少しチクッとした。
………これって、髭?