モテKingのターゲット


無意識に彼の口元を覆う自分の手に視線が行く。

綺麗な顔をしてても、やっぱり彼も男なんだ。

この時、初めて彼を『男』だと意識した。


だからと言って、ドキドキする訳じゃない。

そこら辺にいる男性と同じという事だけで……。


そんな私の視線を感じてか、彼の口元を覆う私の腕を彼はガシッと掴んだ。

当然のように私の腕は鋭い痛みを帯びる。

ホント、手加減ってものを知らないのかしら?

店先から連れ出した時と同じように、力一杯私の腕を掴む彼。


そんな彼にキッと睨みを利かすと、


「おい、俺の顔を見るのはタダだけど、勝手に触れんじゃねぇよ」


低めの声音が降り注ぐ。

彼の口元を覆っていた手は無理やり剥がされ、尚も強く掴まれたまま。


「そっくりそのままお返しします」

「あ?」

「この手、離してよ。ホント、力だけはあるみたいね」

「何それ、馬鹿にしてんの?」

「そう聞こえました?」


嫌味な言葉を返すと、口角をキュッと上げ、彼の表情が一変した。


「お前、生意気だな」

「よく言われます」


ほんの少し挑発的な視線で応戦すると、


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