モテKingのターゲット


女が降りる駅が分からず、ケン越しにロックオンしてると。

えっ、マジ?!

俺らと降りる駅、一緒じゃん。


女が颯爽とホームに降り立つのを見届け、


「ケン、行くぞ」

「マジかよ」


俺の行動を察して、ケンが再び溜息を漏らす。


女は長い髪を靡かせ、颯爽と階段を上る。

俺らはすぐさま後を追うのだが、俺らと同じように階段を上る野郎どもの視線は彼女のスカートの中。


「マジで見えそうだな、あの子」


ケンが漏らすのも無理はない。

元々短いスカートなのに、後ろ手で押さえもせず、颯爽を階段を上っている。


何、アイツ。

もしかして、エサ蒔いてんの?


俺は一定の距離を保ちつつ、女の後を追っていると。

女は改札口手前にあるトイレに入って行った。


「シュウ、どうかしたのか?」

「………ん、ちょっと気になって」

「気になるって?……何が気になってんだよ」

「………目」

「目?」

「あぁ」


ケンは俺の言葉に小首を傾げ、“俺は興味ねぇ”と言わんばかりにスマホを弄り始めた。


< 9 / 168 >

この作品をシェア

pagetop