モテKingのターゲット
女が降りる駅が分からず、ケン越しにロックオンしてると。
えっ、マジ?!
俺らと降りる駅、一緒じゃん。
女が颯爽とホームに降り立つのを見届け、
「ケン、行くぞ」
「マジかよ」
俺の行動を察して、ケンが再び溜息を漏らす。
女は長い髪を靡かせ、颯爽と階段を上る。
俺らはすぐさま後を追うのだが、俺らと同じように階段を上る野郎どもの視線は彼女のスカートの中。
「マジで見えそうだな、あの子」
ケンが漏らすのも無理はない。
元々短いスカートなのに、後ろ手で押さえもせず、颯爽を階段を上っている。
何、アイツ。
もしかして、エサ蒔いてんの?
俺は一定の距離を保ちつつ、女の後を追っていると。
女は改札口手前にあるトイレに入って行った。
「シュウ、どうかしたのか?」
「………ん、ちょっと気になって」
「気になるって?……何が気になってんだよ」
「………目」
「目?」
「あぁ」
ケンは俺の言葉に小首を傾げ、“俺は興味ねぇ”と言わんばかりにスマホを弄り始めた。