モテKingのターゲット
何やら微笑ましく眺めながら、志垣という男はお座敷に料理を置いて出て行った。
「志垣さんに変に勘違いされちゃったじゃないですか」
「フッ、したい奴にはさせとけばいい」
「周さんって、ホント変ってる」
「そんなこと言うの、お前だけだぞ」
「そうなんですかぁ?皆、周さんの何を見てるんだろう?」
「外見じゃねぇの?俺の中身なんて、興味ねぇ奴らばっかだよ」
「あっ、それ、私も一緒だ」
「………だろうな。ってか、腹減って死にそう。冷めないうちに食おうぜ?」
「あっ、はい!」
俺らはお座敷で夕食を摂り始めた。
蘭の母親が用意してくれたのは、若鶏の炙り丼?みたいなやつ。
多分、店のメニューにある商品をアレンジしてくれたのだろう。
それと、サラダとみそ汁もちゃんとあって、ご丁寧にもドリンクとデザートまである。
「お前、いつもここでメシ食ってんの?」
「ん~、ここって訳じゃなくて、ホステスさん達がいる控室があるんですけど、そこでおしゃべりしながらご飯食べてます」
「へぇ~。じゃあ、いつも1人って訳じゃねぇんだ」
「あっ、はい。………そうですね」
俺の思考を読み取ったのか、ほんの少し顔を歪ませた。