モテKingのターゲット
明らかな反応


俺と蘭は、お互いに意外な一面を覗かせたあの夜から、少しずつ話すようになった。


俺は再び早朝のみの手伝いをし、彼女は放課後と休日の日中というすれ違いの日々だが。

それでも時折、お袋と仲良さそうにうちのキッチンに立っている。


放課後に遊びに出る事も無く、自室で勉強をしていると。

母親に頼まれたのか、お茶を持って来てくれる事もしばしば。


彼女がうちの家事を手伝うようになって、両親は完全に誤解している。

………俺らが付き合っているのだと。

翔なんて、『兄貴には勿体ねぇ』とかほざきやがるし。

まぁ、当の本人が気にしなければどうでもいいけど。

俺は旨いメシが食えれば、それでいい。


いつだって、平和主義者だからね。



8月上旬、金曜日の夕方。

久しぶりに羽を伸ばそうと、昼過ぎから隣市のショッピングモールへ女と遊びに来ていた。


真夏の外出は正直面倒。

だけど、来週ケンと海に出掛ける予定になっていて、水着を新調したかった。


別に、今日連れてる女と一緒に行く訳じゃないけど、女が好む水着をリサーチしたくて。

どうせ着るならカッコイイ方がいいじゃん?

お金の無駄にならないし。

だって、俺………何着ても似合うもん。

だから、似合う水着じゃなくて、女ウケする水着が欲しいワケ。


< 97 / 168 >

この作品をシェア

pagetop