いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
○prologue○
桜がひらひらと舞う中で、
愛おしいきみが無邪気に笑う。
26歳を迎えたきみのてのひらには、
一冊の古びた日記。
その日記の中には、きみがひとりで
抱え込んでいた恐怖や不安、
そして、いくつもの涙の跡が
記されていたね。
あの頃、高校生だった俺には
大切な人がいて、
幸せな日々は毎日続くんだと、
そう思ってた。
だけど、そんな俺の大切な人は、
『記憶がだんだんと消えていく』
という原因不明の病を患っていました──
< 1 / 271 >