いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


ここが私の家の近所なのか、それとも違う場所なのか。


私はどうやってここにきたのか。


何もかもが分からなくて、私の体が、私の心が。


得体の知れない恐怖に包まれる。


ただひとつこの状況で分かるのは、私は高校に行こうとしていたんだということだけ。


それ以外は、本当に何も分からない。


……お母さんに、電話をしようか。


一瞬その考えが頭の中に浮かんだけど、私は頭を抱えて首を横に振った。


そんなことしたら、お母さんに友達がいないのがバレちゃうかもしれない。


お母さんには、たくさん友達がいるって嘘ついてるのに。


私は必死に周りを見渡して自分と同じ制服の子を探すけど、自販機に寄ったせいなのか、私と同じ制服を着た子はもう誰一人いなかった。


……もう、やだよ。


ここは、どこなの?


なんで私は、ひとりなの?


どうして、毎日通っていた道を忘れちゃうの………。


病気なんて、大嫌いだ。


こんなに些細なことを忘れてしまった自分に、ぶつけようのないイライラが募る。


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