いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
「ど、うして……?」
「バスケ部の先輩が、心咲が通学路でうずくまってるのを見たんだって。心咲と俺が仲良かったのを知ってたから、すぐに俺のクラスにきて教えてくれた」
「そ、っか……」
私の首元に春斗の荒い息がかかって、体は上下に大きく揺れている。
……急いできてくれたんだ。
わざわざ、私のためだけに。
「無事でよかった………」
春斗は私を抱きしめていた腕をほどくと、私の顔をのぞき込んで、安心したように笑う。
その笑顔にキュンとする自分と、切ない気持ちになる自分がいて、これからどうすればいいのか分からなくなった。
「心咲、なんでここでしゃがみ込んで泣いてたの?」
私が今一番聞いてほしくないことを、真剣な顔で聞いてくる春斗。