いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
そこに和田っち先生がきて、私に言ったんだ。
『松岡、あの……病気の方は、大丈夫か……?』
って、とても言いにくそうに。
先生も、油断してたんだと思う。
教室には私たち以外もう誰もいなかったし、廊下に誰かがいる気配もなかった。
だから私も安心して、先生に本当のことを言ったんだ。
『……残念ながら、病状は日に日に進んできています』
って。
……でも、そのすぐ後。
教室の後ろのドアがガタッと開いて、やばいと思ったときにはもう遅かった。
だって、春斗が呆然とした顔で、手に持っていたバックを落としたから。