いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


だって、あの次の日から、私は毎日感じてた。


春斗の視線が、時折私に向けられていることに。


そしてその視線が、私が心配だとでも言うように、鋭く痛かったことに。


私は、気付いていた。


でも、春斗に本当のことを知られるのが怖くて、私は逃げてたの。


私自身から、春斗から、ずっとずっと逃げてたんだ。


……だけど、もう逃げることはできないね。


春斗に昨日の会話を聞かれた以上、今日こうしてメールがきた以上。


春斗は、私の秘密に気付いてる。


………神様は、やっぱり私にイジワルだ。


私は心の片隅でそう思い苦笑いを浮かべながらも、春斗に会う準備をした。


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