いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
「ああ、仁奈ちゃんも心咲ちゃんに会いにきたのか?どうぞ、いらっしゃい!」
って、春斗のお父さんが微笑んだ。
「じゃあ、父さん、母さん。仁奈もきたことだし、俺たち3人は俺の部屋に上がってもいいかな?」
「あら、もう上に上がっちゃうの?」
「だって心咲、さっきからずっと立ちっぱなしだしさ。体のこともあるし」
春斗がそう言うと、
「そうね、春斗の言う通りだわ。……心咲ちゃん、仁奈ちゃん。ゆっくりしていってね」
って言い残して、春斗のお父さんとお母さんはリビングの方に消えていった。
「それじゃあ、俺たちも2階に上がろうか。仁奈も早く靴脱いできなよ。それから、心咲はこっちね」
「ひゃ……っ」
春斗は仁奈さんの前だというのに私の腰に片腕をまわすと、私の歩幅に合わせて階段を上がり始める。
その間に後ろから感じる仁奈さんの視線が、ひしひしと痛かった。