いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


春斗の部屋は、私が思っていたよりもずっとシンプルで、モノが溢れている私の部屋と違ってさっぱりとしていた。


壁に貼られているバンドのポスターや、床に置かれているバスケットボールを見て、やっぱり男の子の部屋だなって思う。


「心咲も仁奈も、適当に座ってていいよ。俺、飲み物持ってくるから」


春斗はそう言い残して、この部屋を出て行ってしまった。


マットの上? 机のイス?


………どこに座ったらいいんだろう。


春斗の部屋にくるのが初めてで、オロオロしてばかりの私。


でも仁奈さんはそんな私とは違って、すぐに春斗のベッドの上に腰を下ろした。


幼なじみだから、こうして部屋にくるのも慣れてるんだろうな。


当たり前のことなのに、どこかで仁奈さんに嫉妬してる自分がいる。


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