いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。

てっきり睨まれると思ったのに、仁奈さんはそんな私の予想に反して、可愛らしい笑顔を向けてくれた。


「心咲ちゃん、よろしくね？はーくんから少しだけ話は聞いてたけど、詳しくは知らないから。だから、これからもっと仲良くなろうね」


仁奈さんが髪の毛をふわっと揺らしながら、首を傾げる。


「仁奈さん……。こちらこそ、よ、よろしくお願いします……」


女の子とこうして面と向かって話すのは中学生の時以来で、緊張のせいか、声が震えた。


私の言葉に仁奈さんはにこっと微笑んで、


「そんなに緊張しなくていいし、敬語もやめてよ。私たち、同い年なんだしさ。それに、さん付けじゃなくて、“仁奈”って呼んでよ？」


って言ってくれた。