いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


「じゃあ、仁奈、心咲」


春斗が優しい笑みを浮かべたまま、私たちを見る。


「なに?」

「来月の8月2日にさ、隣町で祭りがあるんだって。ここから1時間かかるんだけどね、母さんが昨日教えてくれた」

「へぇ、そうなんだね」

「だからさ、俺と仁奈と心咲と、それから蒼(そう)も誘ってみんなで一緒に夏祭りに行かない?」

「へ?」


私が目を丸くすると、仁奈ちゃんも突然のことに驚いたのか、私と同じように目を丸くしている。


それにしても………。


「蒼って、誰……?」


私がふと疑問に思ったことを問いかけると、春斗は“ああ”って顔をしてにこっと笑う。


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