いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
当日の夜7時。
祭りの会場に行くと、春斗と仁奈ちゃん、そして仁奈ちゃんの彼氏らしき人はもう先に着いていた。
「心咲ちゃん、すっごく可愛い!」
仁奈ちゃんは、私の浴衣姿とそれに合わせてセットされた髪の毛を見て、とても興奮気味に褒めてくれた。
でも、そんなこと言ってくれる仁奈ちゃんの方がとてもよく浴衣が似合ってると思う。
ピンク色の花が散らされた真っ白な浴衣は、ふわふわした仁奈ちゃんのイメージにぴったりだもん。
「仁奈ちゃんも可愛いよ。それに今日、ちょっとだけお化粧してるよね?」
「え、うん……。気付いてくれたの?」
ちょっぴり恥ずかしそうに私を見る仁奈ちゃん。
「気付くに決まってるじゃん。仁奈ちゃん、もともとお人形さんみたいに可愛らしいのに、もっと可愛くなってるから」
私が思ったことをそのまま言うと、仁奈ちゃんは少し頬を赤らめて俯いた。