いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
………もう、そういう反応もすごく可愛いんだから。
なんて思って、仁奈ちゃんを見てにこりと頬を緩めると、
「心咲……俺のこと忘れてない?」
って、今度は春斗の拗ねた声が聞こえた。
あっ、やばい。
春斗のこと、完全に忘れてたよ……。
あわてて春斗の方を見るけど、春斗は私が春斗のことを忘れていたのに気付いていたみたい。
ムスッと唇を尖らせ、冷ややかな目で私をジーッと見つめていた。
そしたら、もうひとり。
「仁奈?お前も、俺のこと忘れてない?」
仁奈ちゃんの頭にポンとてのひらをのせながら、背の高い男の人がにょきっと姿を現した。