いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


また心の中でそんなネガティブなことを考えていると、


「心咲は人見知りだからさ、ゆっくり打ち解けてやってよ」


って蒼くんに優しく話す春斗の声が聞こえた。


春斗の優しさが胸の奥底まで染みて、なんだか心が温かくなる。


「そうなんだ?心咲ちゃん、ごめんね?いきなりいっぱい話しかけちゃって」


グッと伏せていた顔を上げると、申し訳なさそうに微笑む蒼くんの顔があったから、私は無言で首を横に振った。


そしたら、


「でも、せっかくこうしてダブルデートできるんだからさ、ちょっとずつでも仲良くなろうな?」


って、今度は蒼くんが笑顔を向けてくれる。


その笑顔を見て、心の底から思ったんだ。


< 141 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop