いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
ふたりはいつの間にか手を繋いでいて、時折、仁奈ちゃんが蒼くんの方に身を寄せる。
その様子があまりにも自然すぎて、私には絶対真似できないだろうなって、春斗を見て苦笑いを浮かべる。
でも春斗はそんな私に不満そうな顔を向けると、
「そうじゃなくて」
と、私の頬をぷにっとつまんだ。
「ん?どういうこと?」
「だから……。心咲、俺の言いたいこと、本当に分からないの?」
「………ごめん」
「嘘でしょ……。じゃあ、俺ちゃんと言葉で言うから、聞いてて」
春斗は、仁奈ちゃんと蒼くんにバレないように、そっと私の耳元に顔を近づけると、
「俺も、心咲と手、繋ぎたいな」
って、かすれた声でそう言った。