いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
───ピーンポーン。
リビングのソファーでそわそわしていると、来客を告げるチャイムが鳴った。
「心咲?でなくていいの?」
「……え?」
「え、じゃないわよ。今日はお友逹が家にくるんだって、あなた言ってたじゃない。今だって、もうすぐお友達が着くから、リビングで待ってたんじゃないの?」
「う………」
目の前で、呆れたように深いため息を吐くお母さん。
早く言わなきゃ。
じゃあないと、嘘がバレちゃう………。
「あの、ね、お母さん………」
「なぁに?かしこまっちゃって」
「えっと……今日、家にくるのは、ね。友達じゃなくてね……。その……私の彼氏、なんだ……」
この状況での突然のカミングアウトに、お母さんは目をパチクリとさせた。