いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


「う、嘘をついてたわけじゃないんだよ?ただ、なんていうか……恥ずかしくてさ……」


緊張や焦りで、ついつい言葉がどもってしまう。


「心咲……」


お母さんがなにかを言おうとしたその時。


───ピーンポーン。


再び、家のチャイムが鳴った。


あ、やばい。


春斗のこと、ほったらかしにしてた。


横目でチラッとインターホンの画面を見ると、春斗が不思議そうな顔で首を傾げていて。


「おかあ………」

「心咲!」

「へっ?」


“お母さん、とりあえず玄関開けてくるね”


そう言おうと思ったのに、お母さんはインターホンを確認することも、私の言葉を最後まで聞くこともせず、大きな声で私の名前を呼んだ。


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