いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
そして全身の力が抜けたようにへにゃへにゃと床に座り込む。
「お、お母さん?大丈夫………?」
「大丈夫じゃないわよ……」
「え……」
「もう、びっくりさせないでよ。お母さん、寿命が何年か縮まったじゃない」
「あの……何の話?」
びっくりさせないで?
寿命が縮まる?
お母さんの言いたいことが全く分からない私は、春斗と目を合わせて小さく首を傾げる。
「心咲が……あなたがまた、瑠希くんとお付き合いを始めたのかと思ったの」
「………え?」
まさかお母さんの口から瑠希の名前が出るとは思わなくて、思わず思考が停止する。
「あんなにつらい目にあったのに。また心咲と付き合うだなんて、お母さん許せなかったから」
私の目を見て、そう話すお母さん。
瑠希にフラれた“あの日”のことを言っているんだってすぐに分かった。