いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
私、すごく泣いたからなぁ。
だってあの頃は本気で瑠希が好きだったんだもん。
だからフラれた時は、本当になんにもする気力が湧いてこなかった。
残り少ない学校も、3年生の晴れ舞台である卒業式も行けなかったし。
相手が瑠希じゃないのを知って、心から安心したようにホッと息を吐くお母さん。
そんなお母さんを見て、ずっと心配をかけていたんだなっていう罪悪感と、私はこんなにも想われているんだなっていう嬉しさが同時に込み上げてくる。
「あのね、お母さん」
「ん?」
「春斗は、すごく優しいよ。こんなに素敵な人、この世にはもういないって言い切れるくらいに」
私は春斗と目を合わせると、にこっと微笑んだ。
「私の病気も含めて、“私自身”を好きでいてくれる。そして私だけじゃなく、私の愛するもの全てを、全力で守って愛そうとしてくれる」
ねぇ、お母さん。
この人は、本当に瑠希とは違うから。
だから安心して?