いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


「春斗くん、だったかしら………?」

「はい」

「春斗くんは、心咲のどこが好きなの?」


漠然としたお母さんの質問に、春斗はうろたえることなく、きっぱりと言った。


「全部です」


と、ただ前を向いて。


「優しすぎる性格も、不器用でからまわりしちゃうところも。心咲さんの笑顔も、何かを頑張る姿も。全部が好きです」

「……っ、春斗っ……」

「心咲さんはいつも、俺に元気をくれます。だから俺も、心咲さんの役に立ちたい。好きだから、心咲さんのそばにいたいんです」


春斗は私を見ると、白い歯をのぞかせてにかっと笑った。


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