いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
私はそんな春斗にタオルを渡しながら、むくっと頬を膨らませた。
そりゃそうだよね………。
仁奈ちゃん、すごく可愛いし、中身だってとっても素敵だもんね。
あんな子がそばにいたら、好きになるに決まってる。
でもやっぱり、なんだか妬けちゃうな………。
私が少し俯いていじけていると、
「心咲。俺、仁奈とはそんなんじゃないよ。ちょっとだけ、俺の話聞いてくれる?」
って、春斗が困ったように笑った。
だから私もだまって頷くしかなくて。
私はそっと春斗に視線を向けた。
「俺ね、小さい頃、すごく弱虫だったんだ。母さんが俺の髪の毛を伸ばしてたこともあって、よく女の子と間違えられたりもしてたし」
「え……」
「意外でしょ?」
「う、うん。全然想像できないや……」
私にとって春斗は、誰よりも優しくてかっこいい、世界一のヒーロー。