いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


私の胸の中にも、たくさんの“好き”が募っていく。


「………っ」


春斗の長い指先が私の唇をそっとなぞり、真剣な春斗の瞳と目が合って、体中が焼けるように熱くなった。


まるで全身が心臓に変わったかのように、私の胸がドキドキと鼓動を刻み始める。


「心咲……」


私の唇を見つめながら、そっと傾いた春斗の顔。


春斗、大好きだよ………。


心の中で何度もそう唱えながら、私はぎゅっとまぶたを伏せた。


次の瞬間、唇に触れたのは、やわらかくて温かい春斗の唇。


時間にしたら、多分数秒だと思う。


< 169 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop