いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


胸の奥底が、とても温かくなった。


自分の親が、私の好きな人を認めてくれる。


私の恋人を、好きになってくれる。


なんて、嬉しいんだろうね。


「気をつけて行ってらっしゃい。それからこれ、朝ご飯のパン。電車できちんと食べるのよ?」


お母さんが持たせてくれたパンをバックの中に丁寧に入れると、私はふたりに向かって笑顔で言った。


「お父さん、お母さん。行ってきます!」


するとふたりは飛びきり優しい笑顔で私に手を振ってくれた。


お父さんに関しては、少し寂しさも垣間見える表情だったけど。


最寄り駅に向かう足取りは、いつもより心なしか弾んでいた。


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