いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


ただひとつ思うのは、恋ってこんなにもあっけなく終わってしまうんだってこと。


瑠希は私の初恋で、初めての恋人でもあった。


ファーストキスも恋人つなぎも、全部全部、瑠希が最初の人だった。


……なのに、こんなにも簡単に終わっちゃうなんて思いもしてなかったな。


“瑠希はどんなことがあっても、私から離れない”


本気でそう信じていた自分に、嫌気がさした。


そしてこの日、決めたんだ。


私は、この記憶が全て消えてしまう日まで、誰とも恋をしないし仲良くもならない。


お医者さんが言うには、あと一年で私の記憶の全てが消える。


だから私はその日まで、ひとりで病気と闘い、ひとりで生きていくんだ。


< 21 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop