いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


……でも。


「心咲、泣いてる……?」


春斗は私が泣いてることに気付いたみたいだ。


ああ、私なにしてるんだろう。


もしかしたら、これが私の記憶に残る最後の春斗との思い出かもしれないのに。


せっかく、春斗と泊まりをすることができるのに。


私、春斗を困らせてばっかりだ……。


「……っ、うっ……」


そんな自分が情けなくて、溢れだした涙を右腕でグッと拭ったとき、春斗が小さな声で“ごめん”って言った。


なにがごめんなの?


春斗は悪くないのに。


私の心の声に応えるように、春斗はポツリポツリと口を開く。


「……泣かせて、ごめん」


春斗の声は、少しだけかすれていた。


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