いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
私の胸の中には、ハテナマークがきっとたくさん。
だって、何も分からない。
お母さんが何でそんなにつらそうな顔をしているのかも、春斗っていう人が誰なのかも。
分からないせいなのか、胸が変にモヤモヤしてくる。
今にも泣き出してしまいそうなお母さんは、イスに腰かけている私の前にしゃがみこむと、私の手をぎゅっと固く握った。
そして私を見上げる。
「春斗くんは……心咲、あなたの彼氏よ……」
告げられたのは、信じられない事実。
私に彼氏……?
いや、絶対あり得ないよ。
だって私、瑠希にフラれてから一度も誰かと付き合ったことないもん。
あんなにひどいフラれ方をして、たくさん泣いたの、お母さんも知ってるじゃん。
「あはっ、お母さん、それ勘違いだよ。私、春斗って人知らないもん」
笑って冗談っぽく言ったのに、お母さんはクスリとも笑ってくれない。