いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
───プルルル、プルルル。
コール音が5秒ほど鳴ってから、
『もしもし、心咲?』
っていう春斗の低めの声が電話越しに聞こえた。
「春斗?私ね、お母さんとちゃんと仲直りできたよ。ごめんなさいって、ありがとうって。お父さんとお母さんに言えたよ」
『お、えらいじゃん、心咲。おじさんもおばさんも、嬉しそうだったでしょ?』
「……うん。ふたりとも、嬉しそうに笑ってくれた」
私が照れながらそう言うと、春斗も
『よかったじゃん』
って言ってくれた。
『……あ、心咲?』
続けて春斗が私の名前を呼んだから、
「なに?」
って、私は返事を返す。