いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


……でも、春斗のそんなところが好き。


クールで冷たそうに見えるのに、優しいところも。


笑うと、少年みたいに可愛いところも。


普通の人じゃ恥ずかしがって絶対言わないようなことを、本気で言っちゃうところも。


春斗の全部が、大好きで仕方ないの。


『ね、心咲。あの日のこと、覚えてる?』

「あの日?」

『そう。俺たちが初めて出会った、入学式のこと』

「ああ、覚えてるよ」


今でもあの日のことはちゃんと覚えてる。


確か、入学式の日の私は、この世界の全てに絶望してた。


少し前に大好きだった瑠希にフラれて、治療法の分からない原因不明の病気になって。


絶対に誰とも仲良くならないし、恋もしない。


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