いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
どうして春斗は、いつも私が欲しいと思っている言葉をくれるんだろう。
「……ありがとう、春斗」
泣いているのがバレないように、私はそっと微笑みを漏らしながら言う。
そしたら春斗は、
『もう一回、空、見てみなよ』
って、私に言った。
だから私はさっきと同じように、顔を上に向けて夜空を見上げる。
『……俺は、この空にある星の数だけ、ううん。ここにある星の何倍も、心咲を愛してるよ』
きらめく星たちを眺めていると、耳元で聞こえた春斗の優しい声。
それは、私が春斗と付き合い始めるときに言われた言葉と全く同じ言葉。
頭の中に、今まで春斗と過ごした日々がよみがえる。
確かに、泣いたこともあった。
だけどね、私の中でよみがえる春斗との思い出は、楽しいことのほうが圧倒的に多いんだ。
ねぇ、春斗。
あの日、数多くいる生徒の中で、私を見つけてくれてありがとう。
私を、春斗の彼女にしてくれて。
本当にありがとう。
私はそれだけで、幸せだよ───。