いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
心咲の想いがまっすぐすぎて、優しくて。
あの頃の心咲に、もう一度だけ会いたくて。
……でも。
どれだけ昔を思い出しても、“春斗、大好きだよ”って優しく微笑む心咲はもういない。
『春斗くん……』
肩をポンポンと優しく叩いてなでてくれるおばさんに諭され、俺は再び日記に目を通す。
そのとき、ある一文に俺の目が止まった。
───私は、春斗を信じてる。
俺の頭の中で、この言葉が心咲の声に変わり、脳内で再生される。
まるで胸の重荷が外れたように、体中が、心が、すーっと軽くなる。
そのとき、俺はやっと気付いた。
自分の心が、本当は不安でいっぱいだったことに。