いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


もし心咲が、俺じゃない他の誰かを選んだら?


俺のことを、好きになってくれなかったら?


そんな不安で、恐怖で。


俺はいつしか、俺らしくいられなくなってたんだ……。


だからこそ、過去の心咲ばかり思い出してしまう。


あの頃の心咲だったらこうだったとか、心咲が記憶をなくす前はああだったとか。


でも、それじゃあ何も変わらない。


心咲が過去の自分を知らないのに、俺が今の心咲に過去の心咲を重ねたって、意味がないに決まってる。


大事なのは、過去じゃなく未来を見ること。


“今”を一生懸命生きている心咲をちゃんと見て、愛してあげること。


そんな当たり前のことを、俺は今まで忘れていたんだ……。


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