いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


おばさんはパッと顔を上げ驚いていたけど、すぐにやんわり笑って言ってくれた。


『本当にありがとう。春斗くん』


って。


『心咲のことたくさん愛してくれて、私も本当に嬉しいわ……。その日記は、春斗くんが持っててちょうだい?』


続けておばさんが言う。


『心咲に渡すかどうかは、春斗くんに任せるわ。……本当に、ありがとうね』


俺を見ながら、優しく微笑んだおばさん。


俺はその言葉に強く頷いて、心の中である決意を固めた。


……この日記を心咲に渡すのは、心咲がまた俺に振り向いてくれたときにしよう。


ふたりの想いが通じあったときに、俺から心咲にこの日記を手渡すんだ。


俺はこのとき、そう決めた。


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