いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


そして、1年半年後の冬───。


あれは、真っ白な雪が舞う日曜日の昼間のことだった。


俺は、心咲から告白された。


冬空の下で、頬を真っ赤に染めて。


“私、荒嶋くんが好きみたい”


そう恥ずかしそうに呟いたきみに、俺はなんだか切ない気持ちになったんだ。


それはきっと。


ああ、やっと俺を見てくれた……。


そんな気持ちで、胸がいっぱいになったから。


俺はその日、あのときおばさんから預かっていた日記帳を心咲に渡した。


心咲は、前に俺と付き合っていたことを初めて知り、目を丸くしながら驚いていたけど、すぐに俺を見てやわらかく笑ったんだ。


“荒嶋くん、こんなにも長い間、私を想っててくれてありがとう”って。


この日から、俺たちの恋はまたスタートを切った。


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