いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


***


今までのことを簡単にだけど話した心咲は、心春を見てふっと頬を緩める。


「心春には、ちょっと難しかったかな?」


そう言った心咲に、心春は笑って返した。


「ぜーんぜん!ままとぱぱは、ずーっと前から大好き同士だったってことでしょ?」


心春が無邪気に笑ったそのとき、春風がヒューっと優しく吹き、桜の花びらがひらひらと何枚か舞う。


「ねぇ、まま。ままは、ぱぱのこと好き?」


心春の問いかけに少しだけ俯いた心咲。


でもすぐに顔を上げて、心春を優しく見つめる。


「うん。私は春斗が大好きだよ。心春のパパが、世界で一番好き」


真っ赤な顔ではにかみながらそう言った心咲は、俺が今まで見てきた心咲の中で一番きれいだった。


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