いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
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今までのことを簡単にだけど話した心咲は、心春を見てふっと頬を緩める。
「心春には、ちょっと難しかったかな?」
そう言った心咲に、心春は笑って返した。
「ぜーんぜん!ままとぱぱは、ずーっと前から大好き同士だったってことでしょ?」
心春が無邪気に笑ったそのとき、春風がヒューっと優しく吹き、桜の花びらがひらひらと何枚か舞う。
「ねぇ、まま。ままは、ぱぱのこと好き?」
心春の問いかけに少しだけ俯いた心咲。
でもすぐに顔を上げて、心春を優しく見つめる。
「うん。私は春斗が大好きだよ。心春のパパが、世界で一番好き」
真っ赤な顔ではにかみながらそう言った心咲は、俺が今まで見てきた心咲の中で一番きれいだった。