いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


中学3年生、3月。


あと4日で卒業式を迎えるというのに……。


今の私の居場所は、学校ではなく大きな国立病院。


たいしたことはないのに、お母さんに無理やり連れてこられちゃった。


「松岡さんー。松岡心咲さーん」

「あ、呼ばれてる。お母さん、私ひとりで行ってこようか?もう少しで高校生になるんだし、ひとりで大丈夫だよ?」

「いいの。お母さんが心配で勝手に連れてきちゃったんだから。心咲と一緒に行くわ」


お母さんはそう言うと、ゆっくり立ち上がって少し心配そうに眉を下げる。


もう、本当に心配性なんだから。


私はそんなお母さんを安心させるように、


「私はきっと大丈夫だよ」


って笑ってみせた。


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