いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
ふとそんなことを考えて、気分がすごく重くなったとき。
「大丈夫か?」
私のスクールバックをめがけて伸びてきた、スラッとした、でもほどよく筋肉のついた腕。
急な出来事にびっくりして顔を上げると、そこにはあのきれいな顔の男の子、荒嶋くんがいた。
「え……」
なんで荒嶋くんが私の前にいるのかとか、なんで荒嶋くんが私のスクールバックを持ってくれているのかとか。
聞きたいことは山ほどあるのに、どれものどに引っかかって上手く言葉にできない。
「松岡さん?大丈夫?」
そんな私を見て放たれた、2回目の“大丈夫?”。
私はあわてて、今度こそ首を小さく縦に振った。