いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
「大丈夫、です……」
「なら、よかったよ。松岡さんが急によろけたから、転けちゃうのかと思った」
荒嶋くんはそう言って、そっと微笑む。
さっきも思ったけど、なんてきれいな顔立ちなんだろう。
こんなにも端整な顔立ちの男の子を見たのは、初めて。
そのせいで、私の胸がトクンと小さく鳴った。
「あの……っ、本当に大丈夫なんで……」
「そう。俺も安心したよ」
「え、だからあの………」
「なに?」
私を見下ろすくらい背の高い荒嶋くんは、不思議そうに首を傾げる。
……え、本当に気付いてないのかな。
「私のカバンを……」
私がそこまで言って口ごもると、彼はようやく私の言いたいことに気付いたのか、目を大きく見開いた。